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□告白まで
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ナニにもなれない。
押し殺さなければならない。
言葉にすることもない。
そんな、昔からの恋。
この気持ちを忘れてしまおうと、とにかく離れたこともあった。
とにかく、とにかく近くにいようとしたこともあった。
でも、けっきょく「兄弟」という位置に戻ってくる。どうあがいても、そこから抜け出すことはできない。ナニを壊しても、これだけは壊れることはない。
感謝も憎みもしたステキな繋がり。
無駄な嫉妬をする度に嫌というほどわからされた、弟への狂った想い。押し殺しなどできない。言葉にしなければどうにかなってしまう。
彼のことを考えていたら、頭に靄がかかった。
今までもその繰り返しだった。もう、この動作はやりつくした。このくだらない鎖を断ち切ろう。
「xxxxxxxxxxx」
これが鎖を断ち切る呪文。
チャイムを鳴らす。家の主が出てくる。突然の訪問に多少驚いているようだが、気にせず家に押し入る。自分を追い込む為にも、玄関ではなく部屋で気持ちを伝えることにしたのだ。
だがそのおかげで、玄関に彼のものではない、見慣れた靴があることに気がつかなかった……。
END
アトガキあり