SS
□玩具
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「シンって可愛いよね」
「はぁ?」
俺の恋人は、極稀に突拍子もない事を言いだす。
「何でこんなに可愛いんだろう」
「はぁ…」
ほぅ…と何とも言えない溜め息と共に吐き出された返答に困る言葉に、俺は適当に相槌を打った。
そういえば
彼の親友で俺の元上司が、この目の前の青年は、何処かの次元だかから話を持ってくるのが得意だとか何だとか、心底疲れきった表情で切々と語っていた事があったっけ…と、何処か切り離された部分でそんな事を考えていた。
それはある種の現実逃避だったのかもしれない。
「本当、食べちゃいたい位、可愛いよね」
「たべ…って、何言って…」
るんですか、と続けようとして振り向いた先、紫電の濡れた瞳がすごく至近距離にあって、思わず首ごと顔を仰け反らせた。
「きききキラさんっ!?」
「何でそんなに離れるかなぁ」
「ちょっといやかなり近すぎなんですけど!?」
「僕とするのは…嫌?」
嫌とかそういう問題じゃなくてですねぇ!
…って話ズレてるしっ!
心底不思議そうに可愛らしく首を傾げる年上の恋人に、俺は心の中で突っ込んだ。