SS
□兎
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「シンって本当、兎みたい」
ベッドの隅で本を読んでいた筈の彼がいつのまにか近くにいるのを、同じく彼とは反対側のベッドの隅で携帯をいじっていたシンは、ちらりと視線を向ける事で確認した。
「目が赤いからなんて理由は聞き飽きましたよ」
「違うよ。寂しがり屋だなって」
髪の毛の一部がつんつんと引っ張られる感触を感じながらも、黙って携帯を見つめる。
「構わないとすぐ拗ねるでしょ?」
「悪かったですね」
まさしく拗ねたように素っ気なく返すシンに、キラはクスクスと笑いながら飽きもせず手持ち無沙汰のように、黒髪をつんつんと引っ張り続けた。
一定の間隔で走る淡い痛み。
シンは、ぱたんと携帯を折り畳んだ。
「そういうアンタだって」
振り向き様、彼の手首を掴む
「十分、兎ですよ」
その言葉に、近づきすぎて見えなくなりつつある口元が
ほんの少し弧を描いた。
end
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お兄様が何でも手取り足取り教えてあげるよ…な感じで、シンを押し倒すキラが頭から離れない…。