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□不確純想
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贖罪して欲しい訳じゃない


それは自分でもよく分からない




不確かなようで確かな想い―…







「愛してます」


本気で心の底から貴方に語りかけるのに

「そんな不確かなモノはいらない」

貴方は虚ろな眼差しでそれを拒絶する。

「じゃぁ何が…」


欲しいの?


「殺してよ」


その瞬間確かに宿る光

「憎いんでしょ?僕が」

俺を捕らえて離さない光―…。

「…それでも俺は」

「僕を殺したいんでしょ?君は」

くすくすと微笑う声が俺を揺さ振る。

貴方の言葉一つで奥底の黒い物が溢れそうになる



感情のままに

殺したくなる―…



「僕が唯一君に対して欲するモノだよシン」

甘い誘惑に

それでも俺は

貴方だけが俺を

「…だったら生きて下さい」

繋ぎとめてくれるから

踏み留まらせてくれるから

「貴方が憎いから…貴方が欲するモノなんてあげませんよ」

でも無力な俺は

逃げる辷しか知らない

「…きみは馬鹿だよ」

哀れむような眼差し。


愚かな俺は鎖を外す鍵を無くしてしまったようだ


「…彼みたいだ」


離したくない

逃げる貴方を


解放されたくない

貴方への歪んだ想いを



「…愛してます」


「僕はキライ」




とても愚かで矛盾した


確かなようで不確かな


甘い戯言―…。



       end

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