SS
□未満
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※本館裏部屋にてフライングでUPしてたのを(既に削除済)修正したものです。
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君は変わらない笑顔で笑う
悲しみと空虚を抱えて
僕は君を想い哭く
消せない痛みと
彼の人の幸せを願って
風が一陣蒼穹へと吸い込まれる
海に面したフェンス越しの歩道。
風雲に暫し目を奪われて上を見上げながら歩いていると、前方に同じように瞬きも忘れて頭上を見上げている男性を見つけて、シンは僅かに眉を潜めるとゆっくりと近付いていった。
「何してるんですか」
その声に、アスランは蒼穹からゆっくりと視線を移した。
「あぁ…君か」
シンの姿を認めアスランは微苦笑を返す。
頭上には雲一つない蒼空。
隣に並ぶとアスランは再び空へと視線を戻した。
「“ソラ”を見てるんだよ」
つられて見上げた空は先程と何ら変わりはなく、何処までも蒼一色で塗り潰されているだけ。
しかしアスランの視線は、それより遥か先へと向けられている。
先程会ったあの少年の事を思い出しているのだろうか
隣の彼同様、先の大戦の英雄を―…
「振られたんですか」
「……まぁな」
淡々とした言葉に、本当に苦い笑いといった表情を浮かべるアスラン。
シンは不可解そうに瞳を眇めた。
そんなに大事なら何故彼は、離れてまで彼女の下でお守りなんかしてるのだろう
そんなに彼に依存しているのなら―…
痛いくらいの碧。
彼が逃げたのか
彼が逃がしたのか
包み込むような蒼。
泣きそうな横顔。
手を離さなければ良かったのに
「…馬鹿ですね」