隔離文
□執愛
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ほら
早く構ってよ
じゃないと
淋しすぎて
何するか分からないよ?
「キラ・ヤマト!此処に来てるのは分かってるんだ!大人しく出てこい!」
まるで般若のような憤怒の表情で、シンは狭いミネルバの中を駆けていた。
大きな赤い目を、精一杯見開きながら走るその姿に、クルー達はまたかと苦笑を浮かべながら見送る。
そんな事には構わず、シンは狭い艦内を駆け回った。
そして、前方に見えた開け放たれた一室。
中を確かめる事もなく、シンは今日何度目かの声を荒げた。
「キラ・ヤマト!」
「あれ。見つかっちゃった?」
そう言って軽く肩を竦めながら、備え付けの簡素なソファに腰かけている青年が一人。
それは、シンが必至に探していた人物で
青年…キラは、隠れる訳でもなくソファに座り、ゆっくりとした優雅な動作でカップを口唇に付けながら微笑を向けた。
「あ。シンもコーヒー飲む?」
のんびりとした口調でかけられた言葉に、シンは息を整えながらますます目尻を釣り上げると、歩幅を大きく開きながらソファへと近づいた。