隔離文

□無題
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※一番始めに考えていたけどボツになったV.D.ネタ。
※唐突に始まります。
※文字を肉付けしていません。

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「…で、食べてみたらすごくおいしくてさ」

「……で?」

「ティアに頼んで作り方教えてもらったんだよ。あ、俺でも作れるか聞いてからな」

「……で?」

「そしたら、そんなに難しいものじゃないから大丈夫。って言われてさ。でも実際に作るとなると材料とか器具とか色々と揃えなきゃいけないだろ?だから、すぐには無理だけどそのうち作るか。って思ってたら、今日ちょうど時間が空いてさ。だったら作ってみようかと思って」

「……で?」

「……え?」


瞬き二回。
ついでに首も傾げる。


「…えーと、これで話は終わりだけど?」


あれ?とでも言いたげに眉をひそめるルークに、アッシュはわざとらしいくらいに大きくため息をついた。


「まだ本題にすら入ってないじゃねぇか。何のために作ろうとしたんだって聞いてんだよ」

「あー、……あれ?言ってなかったか?アッシュにあげようと思ったんだよ」


今度はアッシュが訝しげに眉をひそめた。


「……は?」

「俺、今までバレンタインなんて知らなかったからさ。まぁ…この日というかこの時期は何かあるのか?とは思ってたけど、さほど興味がなかったというか詳しい意味までは知らなかったというか。…いま思い出してみると一年に一日だけ必ずチョコがもらえる日があったんだよな。でも、誰もバレンタインなんて教えてくれなかったからさ。俺が聞かなかったからなんだけど。とにかく、そんな印象しか残ってなかったけど今年はせっかく正しい意味を知ったんだから、記念にあげたかったんだ。…来年あげられるか分かんないしな」


そう言うルークの顔には不自然なくらいの笑顔。
いや。こちらが゛不自然゛だと感じているだけで、ルークにとってはそうではないのかもしれない。


「あ、いや、その、……俺も!チョコを食べたい気分だったし!」


急に頬を染めたかと思えば、何やら弁明し出すルーク。


「…俺は、ついでということか?」

「え、や、違う…じゃなくて違わないけど違うっていうか!」

「どっちかはっきりしろ」


言葉を茶化し、わざと乗っかる。
明らかに、からかうような笑みを浮かべているのにも関わらずルークは気付かない。
ふと、鼻についた小さな異物に気付いた。
多分、チョコだろう。


「チョコついてるぞ」

「へ?」


躊躇うことなく舌で舐め取る。
音もなく口を開閉させるルーク。


「…苦すぎないか?」

「え?は?まじで!?……うわっ!本当だ。…んー、ティアからもらったのはこんなに苦くなかった気がするんだけどなぁ?……砂糖入れたら甘くなるかな」


砂糖の袋を探すためか周りを見回す。


「俺は、その苦さは嫌いじゃない」


その言葉にルークはチョコが入ったボールを手に動きを止めた。
そして、何故か視線をボールとアッシュとで往復させたかと思うと今度は悩むように瞳を閉じた。


「んー…、じゃぁいいか!」


この後、チョコを流し込むためにルークが手に取ったハート形の入れ物に、アッシュは全力で阻止することになる。







end

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