隔離文
□無題
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色んな意味で息絶え絶えに漸く家に着くと玄関前に空の段ボールが置いてあった。
考えたくないがここに置く意図を考えると間違いないだろう。
「…………」
だってアイツならやりそう。
口の端を引きつらせ、ちらっと覗き込むとそのまま無言で家に入った。
「…ただいまー」
返事は期待していなかったので、紙袋を玄関に放置するとリビングへと進む。
するとテーブルの上に宅配便の箱が二つ。
宛名を確認すると、一つはカガリとマユからで、もう一つはラクスとミーアからだった。
去年と同じできっと3つづつ入っているだろう。
後でお礼の電話をしないと。
そう考えながら、ちらりと既に開封されていた箱の中を覗くと、片方…ラクスとミーアからのほうに一際大きな箱が二つあるのがすごく気になった。
きっと、多分、絶対、アスラン宛てだろう。
ミーアのほうは大きいハートなんだろうなぁ。と中身が容易に想像つくが
ラクスのほうは怖くて想像したくない。
いや出来ない。
まぁ…胃薬飲むハメになるのはアスランだけで、俺とキラには関係ないから別にいいんだけどさ。
4人は女子校だから、多分彼女達も今日は大変に違いない。
特にカガリとラクスには、変にカリスマ的なオーラがあったりするから。
そういえばアスランが見えないな。と思い、階段を上がりキラの部屋の前に立つと、念のため部屋の扉へ耳をつける。
まさか風邪の時にそんなことはしないと思うが、あのアスランの事だ。
万が一がないとは言いきれないのが悲しい。
案の定、人の声らしき音が聞こえた気がして俺は思わず耳を離し、目の前の扉を半眼で見つめる。
いやまさか
アイツも今日くらいは…と思った瞬間、キラの押し殺したような擦れた声が聞こえて俺は迷わず即座に扉を全開にした。
「何やってんだ!」
飛び込んだはいいものの、実は二人は何のやましいこともしていなくて俺のほうが墓穴を掘るという定番のオチをこっそり期待していた訳だが
奴は、しっかりちゃっかりキラを襲っていました。
このケダモノがっ
「アスランっ!」
「…うるさいぞシン」
その前にお前はキラの上から下りろ!
ちっとあからさまに舌打ちされて俺は肩を震わせた。
「アンタが変な事してるからだろっ!」
舌打ちしたいのは俺のほうだ!
「…キラに、バレンタインのお返しを渡しているだけだ」
怒りに震えている俺を余所に、アスランはそんな事を飄々と言い返してくる。
相手は病人なんだから少しは自重しろ!
「あぁ。シンにも俺からバレンタインを贈らないとな」
混ざるか?
バカだろアホだろっ!
「誰が混ざるかこのデコ!」
その言葉に階下の電話の音が混ざった。
一瞬顔を見合せ動きを止めた俺達だが、それっきりアスランは動く気配すら見せずに、逆に再びキラに覆い被さり肌へと手を滑らせている。
「ちょっ!電話鳴って…っ」
「お前が出ればいいだろ」
「そう言って追い出す気だろ!」
「追い出すも何も…お前のほうが扉に近いじゃないか」
数メートルだけだろ!
抵抗する気配が全くないキラは、許容しているのかそれともそんな体力すらもないのかが非常に気になるが、電話も一向に止む気配がなくて散々迷い俺は止むを得ず階下へ行くことにした。
「今日はキラを襲うなよ!」
そう言い放ったが兄が頷いたかはわからない。
苛々しながら電話に出る。
「…もしもし。ヒビキですが」
「こんにちは。シンですか?」
聞こえたのはラクスの声。
慌てて応対する。
ナイスタイミングですラクスさんっ!
更に、どうやらアスランに話があるとの事なので、迷う事なく速やかにアスランを呼ぶ。
「アスラン!ラクスさんから電話!」
その言葉に階上でドンっと鈍い音がしたかと思うと、暫しの間があり次いで階段を掛け降りてくる音が聞こえてきた。
病人を襲った天罰だ。
何やら挙動不審に対応している兄を横目に、俺は悠々と階段を上がっていった。
そして、扉を軽くノックするとそっと部屋に入った。
「…シン?」
まだ熱があるのか視線をふらつかせながらも名前を呼ぶキラに近寄る。
「具合は…大丈夫なのか?」
「うん…。朝よりはマシになったかな」
熱に浮かされたように潤んだ瞳で申し訳なさそうに言うキラに、俺は眉間に力を入れた。
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ダラダラと長いし、オチを何処に持っていきたかったのか分からなくなったし、CPも定まらないしで放置。
アスランは、ラクミアの双子に振り回されてて、キラはカガマユ姉妹に振り回されてます。
シンはどっちからも可愛がられてる感じで。
でも、シンは双子が苦手です。
という設定がありました。