隔離文
□無題
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※パラレル?
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天国にいる、お父さん、お母さん、マユ
お元気ですか?
俺は元気です。
しかし最近は、ちょっとストレスが溜まってきていて、このままでは胃に穴が空いてしまうのではないかと心配しています。
でも安心して下さい。
原因はわかっています。
最近、変わった上司の所為です。
俺は今、その上司の暇つぶしのおもちゃにされてます。
違う言い方ではセクハラとも言うと、この前同僚にいわれました。
…って『セクハラ』って何だ。
むしろこれって、俗に言うパワハラってやつだろうがっ!
「ふざけるなぁぁ!!」
「シン。職場では静かにね」
叫ぶ俺を嗜めるような上司の言葉。
一見、悪いのは俺のようなこの状況。
だが待って欲しい。
そして、俺の格好に注目してくれ!
………いや、今の発言はなしで。
「アンタが煩くさせてるんだろ!?」
目の前で完璧な笑顔で微笑む上司に、怒り心頭で指を指し叫ぶ俺の格好は、女性士官用の軍服。
俗に言う女装。
しかも、ルナマリアみたいに短いスカートの前を片手で押さえ、仁王立ちになる俺に上司はただ微笑むだけ。
そして、不思議そうに首を傾げるだけ。
ふざけるなっ!
可愛く首を傾げたって、俺はあのデコ&ブラコンコンビみたいに騙されないからなっ!
………………騙され……ないからな!?
「何だよこの格好!?」
「とても、似合ってるよシン」
嬉しくないっつの!
「何で俺がこんな格好!?」
「シン…女性は皆、その制服なんだよ?その服装を否定するのかな君は」
「誰がいつそんな次元の話をした!?俺が言ってんのは、何で、男の俺が、女性用の、制服を、着てるのかって事だっ!」
「………何でだろ?」
「アンタの所為だろがっ!」
上官命令って本っっっ当に!素晴らしいよなっ!
肩を上下させながら息つく暇もなくまくしたてるが、当の本人は、何がそんなに不満なの?とでも言いたげに、首を傾げるだけ。
「似合ってるんだからいいじゃない」
「よくねーよっ!」
「……何て言うか、シンって…嗜虐心そそるよね。アスランとは別の意味で」
実にいい笑顔でそう宣った上司の言葉に、一気に顔色が青くなったのは言うまでもない。
…何か黒いものをみた。
いやいやいや!
俺は何も見てない!
断固として見ていない!!
盛大に引きつり、一歩後退る俺に、上司は更に追い討ちをかける。
「ふふ。アスランはおちょくって弄びたいけど、シンは屈辱で泣かせたいなぁ」
うっとりと微笑み、眇られた瞳が怪しい光を放つ。
そう…。
あれは例えるならば、目の前の獲物を狙う肉食獣のような。
…っっ!絶対に泣くもんかぁぁぁ!!
心の中で威勢よく担架を切るが
現実の俺は、敵前逃亡を余儀なくされた。
女装のままで。
END
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何故にキラはこんな子になってしまったのか。