連載
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最近、俺には深刻な悩み事がある
休日の今日
俺はレイと2人、街に出掛けた。
恋人同士な訳だから、言わばそれは俗にいうデート。
2人で出掛けるのなんて、初めてじゃないにも関わらず
毎回、決まって落ち着かない心臓に当然、時間が経つのは早く感じて
気がつけばもう陽が落ちていた。
「また明日」
「あぁ」
玄関先でレイと別れ、その後ろ姿を見送る。暗闇に溶け込むかのように小さくなる背中。
今日は楽しかったな…って…
ちょっと健全すぎじゃないか??
「…誰だ?」
ふと見た窓の外。
丁度シンとレイが玄関先で別れた場面を目撃したアスランが、眉を潜めながら独り言のように呟いた。
「ん?あぁ。レイ君の事?」
アスランの肩越しに金髪の後ろ姿を見たキラがそう答える。
「レイ君?シンのクラスメートか?」
しかし、名前に心当たりがないというように眉を潜めたままのアスランに、キラは半ば呆れ気味で更に詳しく教えた。
「近所のデュランダルさん家のレイ君だよ」
「…あぁ。シンにべったりついて歩いてた、あの愛想のない子…ってキラ、何だよその目は」
「別に…」
人の事言えないだろ…って台詞は、キラの心の中だけで留めておいた。
「それにシンの恋人じゃないか」
「恋人!?」
それも知らなかったのか…
何やら衝撃を受けているらしいアスランに、キラはこっそりと溜め息をついた。
最近、俺には深刻な悩み事がある。
兄2人の事はその存在自体が俺の深刻な悩みの一つだが
今はそれよりもっと困ってる事がある。
レイとの関係が進展しない…
一応キスは済ませている。
でも最近は、何ていうか…それだけじゃ物足りないというか、歯痒いというか…何だか欲求不満みたいで
俺だって健全な男だし勿論レイだって同じ男なのに
デートした後は決まって定時に送り届けられる俺。
女じゃないんだし兄2人があんなだから、別にその…帰るのが遅くなっても、俺は構わないのに
………もしかして
それ以前の問題で
俺って色気がないのか!?