連載
□V
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騒めく教室。
授業と授業の間の僅かな休み時間。
移動もなく暇だった俺は、窓の内側から空を眺めていた。
こういうぼーっとしてる時間って好きかもしれない
何処か穏やかな気持ちで流れる雲を眺めていると
「なに黄昏てるの」
声と共に、蒼で埋めつくされた視界にルナマリアが入ってきた。
「空なんか見ておもしろい?」
「まぁな」
窓枠に寄り掛かりながら不思議そうに聞いてくる彼女に、俺は上の空で返事を返す。
そんな俺の態度にルナマリアは特に気分を害した様子もなく、話題を変えてきた。
「そういえば今日、お兄さん見ないわね」
言われてみれば確かに…
そこで初めて俺は、朝から学校で兄2人の姿を見ていない事に気が付いた。
あの2人はいつも囲まれてるから、こっちから探さなくても女の子の叫び声とか人の流れで今何処にいるのか、自然と把握出来たりするのだが
今日の雑踏は、言うなれば静かな上に平和で逆に何処か違和感があったりする。
慣れというのは恐ろしい
「今日は休み?」
「どっち」
「会長のほうよ」
あぁ。
やっぱり来てないのか
「キラは…多分、休み」
今朝のレイとの待ち合わせ時刻から優に5分は過ぎていた頃。
俺が慌ただしくリビングと洗面所を往復していると
アスランだけが何食わぬ顔で階段から下りてきた。
傍らにキラの姿がない事から察するに
喧嘩からお仕置きになったのだろう