隔離文2
□無題
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※色々と微妙なのでボツ。
※文章も修正してないです。
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男4人で街中を歩いていた時、何となく目に入った屋台。
軽く軽食を…という流れになり、それぞれ購入した訳だが
その中でクレープを買っていたユーリの口が、一口食べたところで一瞬止まったのをカロルはたまたま目撃した。
その不自然さに自らの咀嚼を止め声をかけようとしたのだが、ユーリがすぐに何事もなく嚥下した事でカロルも何となく口を閉じる。
そのまま黙って眺めていると、何故かユーリは隣を歩いていたフレンにクレープを差し出した。
そして差し出されたフレンもまた、ためらいもなく一口食べたのだが、何かを確かめるかのように数回咀嚼したかと思うと眉根を寄せる。
…が、すぐにユーリと同じように嚥下したかと思うと、視線を隣へ向け首を振った。
その仕草を見たユーリも頷き、再び何事もなかったかのように2人はそれぞれ自分の持っているクレープへと口をつける…その一部始終を見ていたカロルは思わず叫んでいた。
「どういうこと!?」
「何が」
意味が分からない!と、はっきり顔に出しているカロルをフレンとユーリが驚いた表情で見下ろした。
「いまユーリが食べてたクレープ、フレンに食べさせてたでしょ!?」
「…そんなの、いつものことじゃない…」
実は3人の後ろでカロルも含め一連の流れを目撃していたレイヴンが、ぼそりと呟いた。
「確かにそうだけど!…その後のユーリの反応が何かおかしかったから…」
「おかしい?」
フレンとユーリは顔を見合わせた。
「うん。…何か変なものでも入ってた?」
「んー…?別に、これといって何か変なもんは入ってなかったが…」
「けど?」
「何ていうか…俺の口には合わなかったなぁ、なんて」
そう言って肩を竦めるユーリに、カロルが声をあげた。
「…え?ってことは…フレンに、ユーリが不味いと思ったもの無理矢理食べさせてたの!?」
「…俺は子供かっつーの…」
半眼で腰に手を当てたユーリが、ふと考え込むように顎に手を当てた。
「特に意味はねぇよ。昔からのクセみたいなもんだ」
「押しつけるのが?」
「だから、違うっつーの」
疑いの眼差しで見上げてくるカロルにフレンが苦笑する。
「下町にいた頃は、一つしかないものは何でも2人で分けていたからね」
「まぁな」
「今はそうでもないけれど…あの頃の感覚が根底にあるせいか例えば僕が料理を食べて、これは美味しいな…とか、これは苦手な味だな…とか、そういった感想を共感したいな…って無意識に思う瞬間がたまにあるんだ」
「だからクセみたいなもんだって言っただろ?」
「へー」
「と言っても、フレン限定だけどな」
「僕も君にだけだ」
肩を竦める二人に、訝しげな顔のままのカロルはもう一つの疑問を投げる。
「それじゃ、あの無言のやりとりは?」
「無言のやりとり?」
「ほら!フレンが食べたあと首を振って、それを見たユーリも頷いてたでしょ?」
「あぁ。あれは…何つーか、お互いに外れだったな。ってだけで特に意味はないな」
「ないね」
顔を見合わせて頷く二人に、カロルは訝しい表情から半眼になった。
「…え。ってことは、2人は意味もなく目で会話してたの?」
「目で会話っつーか…」
「なんとなく…?」
「…幼い頃の癖って怖いわねぇ…」
レイヴンが肩を落として嫌そうに呟く。
カロルはしばらく考えた。
「…でもそれって、相手と美味しいものも不味いものも全部分かち合いたいってことだよね?」
「まぁ…そうなるか?」
「そう…なるかな?」
微妙な顔のユーリと不思議そうな顔のフレンに、カロルは一人納得したように頷く。
「いいね、そういう関係って!うらやましいなぁ」
その言葉にユーリがニヤリとからかいの笑みを浮かべた。
「なるほど。カロル先生はあの娘とそういう関係になりたい。と」
「ちょ!?僕は別にナンとそういう関係になりたいだなんて一言も言ってないでしょ!?」
「俺も別にナンの事とは一言も言ってないけどなぁ?」
「!?ユーリっ!!」
ひどいよ!と、真っ赤になってユーリの背中を叩くカロルを微笑ましそうに見守るフレン。
レイヴンは空いた手を頭の後ろに回しながら空を仰いだ。
「青春ねー」
end
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