隔離文2

□無題
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珍しくすっきりと目覚めた朝だった。
いつもの朝特有の睡魔もなく倦怠感もなく。
それゆえに、すぐさま飛び起きてベッドから抜け出ると隣の部屋へと突撃するべく扉を開けた。
静まり返った廊下に出てすぐに右折。
同じデザインの扉。
当然鍵などかかっていないのは分かっているので、ためらう事なく勢いよく開ける。


「アッシュおはよ!」


陽の光が遮られた薄暗い部屋の中。
同じ配置のベッドの上で、もぞりと一度動いた塊は数秒の間を開けたのち、ぼそぼそとした声を発した。


「…………おやすみ」

「寝るなって!」


思わず突っ込むが、毛布の塊はぴくりとも動かない。
仕方がないのでベッドに近寄る。


「起きろよ!」


遠慮なく塊を揺さ振るが、手の動きに合わせてゆさゆさと動くだけでされるがままだ。
こんなにいい天気なのにもったいない。と往生際悪く揺さ振り続けていれば、塊から不機嫌そうな低い擦れた声が漏れた。


「………ルーク」


次いで毛布の端から覗いた恨めしげな目。
ホラー映画で見るような形相に思わず怯むが、気を取り直すように腰に手をあてるとわざとらしく声を張り上げた。


「ったく仕方ないな」


窓へと移動しカーテンの端に手をかける。
両側へと開かれた布。
差し込む陽の光。
それでも反応しない塊にため息が出た。


「これが最後だからな」


いい加減朝ご飯も作らなきゃいけないのに。と、再度ベッドへと足を向け塊を揺さ振るが、やはりされるがまま。
ふと悪戯心が沸き上がった。
そろりそろり近づく。


「…アッシュ」


小さく名前を呼んでみるが反応しない。
震えそうになる息を必死に堪えながら上体を曲げる。


「……大好き」


頭があるであろう場所で、ぼそりと呟けば脛に激痛。
何が起こったのかわからないまま涙目で蹲れば、毛布の端にゆっくりと回収される足が見えた。
どうやら蹴られたらしい。
寝起きとは思えない機敏な攻撃にじんじんと痛みを発する脛を押さえながら睨み付けるが、塊はまたしても沈黙したまま。
しばらくその場で耐え、だいぶ痛みが治まったところで立ち上がると、再度塊を見下ろす。


「…先に行くからな」


独り言にしては大きめの声で宣言する。
念のため扉の前で立ち止まるが変化なし。
諦めてそのまま部屋から出た。
ぱたんと閉じた扉。
廊下の窓から見える空は晴天。
今日はいい1日になりそうだ。








end








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ある意味バッドエンドのつもりで書いたけど、全く伝わらない文章力のなさが悔しい。
こういうのは読み手に意味が伝わって始めて完成と言えると思うので、そういう意味でもボツ。




















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