隔離文2
□無題
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※エステルが腐っぽいです。
※流れが微妙でボツ。
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それはいつものように街中を歩いている時だった。
「ユーリ!ちょうど良かった」
談笑しながら歩いていると、前方から何やら安心したような表情で駆け寄ってくる青年の姿。
その見知った青年との偶然の再会に、メンバーの足が自然と止まった。
「…フレン?久しぶ…」
ユーリの言葉が不自然に途切れる。
気付けば、ユーリはフレンに抱きしめられていた。
目の前で起こった突然の出来事にメンバーは困惑する。
「……よし!」
ものの1分程でユーリを解放したフレンは、慌しくてすみませんが今日はこれで失礼しますね。帝都に寄ったらぜひ知らせて下さい。とだけ言い残し足早に去っていった。
それに対してジュディスとパティだけがにこやかに手を振り返し、ユーリとラピードが呆れ顔で見送る。
いち早く硬直から抜け出したカロルがユーリに噛み付いた。
「ちょっ、ユーリ!?今のフレン何!?」
「…なんだろな?」
明らかに面倒臭くてはぐらかしています。的な雰囲気を出しているユーリの両腕をカロルは掴んで揺さ振る。
その後方で、何やら微妙な顔をしていたエステルが震えだし、隣にいたリタが一歩距離を置いた。
「…こ……これが!あの、噂の!」
何かに開眼したのか、口元に両手を当て目を見開いてわななくエステル。
噂の何だ。との誰かの呟きは軽く流された。
「嬢ちゃん!毒されてるわよ!?」
「あれは毒ではなく腐ってるほうなのじゃ」
「パティちゃん!?」
何やら訳知り顔で頷くパティにレイヴンはあからさまに引きつった顔。
エステルからの追撃をのらりくらりと躱しているユーリを、いつのまにか離れていたカロルが虚ろな眼差しで見つめていた。
否。生暖かい眼差しを送っていた。
そんなこんなで
何だかんだでみんなの記憶から薄れ初めていた1ヶ月後。
再びフレンがどこからともなく現れ、前回と同じように駆け寄ってきた。
「ユーリ!良かった!」
え。何このデジャヴ
みんなの心が一つになる。
嫌な予感しかしないんだけど。と呟いたのはカロルだったか。
ふと気が付くと何故か二人の顔がくっついていた。
詳細に語ると、唇と唇が接触していた。
「……………」
「では。僕はこれで失礼します。ユーリもまたね」
「………おぅ」
「青年っ!諦めちゃダメよっ!」
こころなしか死んだ目で突っ立ってるユーリを、今度はレイヴンが揺さ振った。
「…フレンのアレ…なんか…前より悪化してない?」
「突っ込む所はそこじゃないわ」
目を輝かせてユーリを凝視しているエステルから早々に距離を置いていたリタが、レイヴンに変わり突っ込む。
「何か…僕に被害がないならスルーしてもいいかなって」
「…あんた。あんなにユーリを慕ってた癖に…」
「フレンも好きだよ。でもフレンだから…」
「…理解したくないけど理解できる…ような気もしたけど、やっぱり気のせいだったわ」
何やら慰めるようにユーリの背中を叩いているレイヴンと、胸元で手を組みあらぬ方向へ視線と思考を飛ばしたまま帰ってこないエステル。
カロルは、やはり生暖かい眼差しを送る事しかできなかった。
そうこうしている間に、二度あることは三度あったわけで。
「ユーリ!」
「…………おぅ」
前記の通り、三度目とあって全員が何となく見守っていると(エステルだけが色んな意味で顕著に反応しているが)フレンはやはり真っすぐにユーリへと駆け寄ってくる。
今度は何をするのか。と色んな意味で構えるメンバーを余所に、今までとは異なり懐に手を差し込んだフレンが何かを取り出したが、小さなそれは遠目からでは判別できなかった。
それをユーリの指に嵌めるまでは。
「愛してる」
息を飲む音と周りの喧騒だけが場を支配する。
「…もう、どうにでもしてくれ」
肩を落としたユーリの返事にその場は一瞬で阿鼻叫喚と化した。
「ちょっと待てーっ!!」
「まさかのプロポーズとは…フレンもやるのぅ」
「さすがユーリの親友ね」
「これが…っ噂の萌え死に…っ、本望です!!」
「エステルーっ!?今のやりとりのどこに萌え要素があった訳!?」
何やら幸せそうな顔でふらりと倒れるように体を傾けたエステルを慌てて支えるリタ。
どうやらいつのまにか片足を突っ込んでいたようだ。
残念ながらその健気な努力に気付く者はいなかったが。
一方、感心していたパティとジュディスはフレンの隣に黙って立っているユーリの手を取り、その薬指に鎮座している指輪を観察している。
「…受けちゃったわね」
「そうだね…」
フレンが来た時に、離脱するように何となく距離を置いていたカロルとレイヴンは、遠くから集団を眺めていた。
「どしたの?いつもなら真っ先に突っ込むのに」
「ある意味、予想出来てたからねこの展開」
「へぇ…。おっさんは、さすがにプロポーズまでするとは思ってなかったわ」
「何言ってんのレイヴン!フレンだよ?だって、あのフレンだよ?今までの流れからのフレンだよ?」
「…ごめんなさい。おっさんの考えが浅かったわ。…それにしても、ユーリが無抵抗なのも気になるわね」
「まぁ…昨日あんな事されれば…」
「はぁっ!?おっさんの見てないところで何があったの!?」
そしてナニを見たの少年!
両腕を掴み揺さ振るレイヴン。
カロルは何やら悟ったような顔で、ぼくはなにもしらないよ。と機械のように繰り返すのみ。
集団の中心では照れるフレンと、精神的にかどこか疲れた表情を浮かべているユーリ。
様々な思惑で取り囲む女性達と、別の理由で騒がしい余った男が二人。
ラピードだけが、つまらなそうに欠伸をしていた。
end
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