隔離文2

□無題
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※つい書きたくなって書いたもの。
※NLです。
※+ではなく×です。
※TOX2発売前に書いたものなので矛盾だらけ。
※未完成です。

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「ジュード!」


まだ幼い少し硬い声で呼ばれて振り向いた。


「…エリーゼ?」
「あの、ですね。その…」
「うん…?」
「わたし、ジュードのことが…」
「僕が?」
「…ジュードの、こと、が…」


たどたどしく言葉を紡いでいる内に感情が昂ぶったのか、次第に泣きそうな表情になる少女。


「す…っ好き、なんです!」


思わず固まる。
しかし、叫ばれた言葉と彼女の表情に首を傾げた。


「…え…っと。僕もエリーゼのことが好きだよ?」
「違います!」
「エリーゼ…?」


即座に否定されてまたもや首を傾げる。


「……違うんです」


弱々しい声で俯く少女。
そういえばティポがいない。と今更ながら気付く。
代弁してくれる彼?がいない所為か、震えて俯く彼女の前に目線を合わせるようにしゃがみこんだ。


「……エリーゼ」
「……っ」
「いま思っていることを、そのまま言葉にしてごらん」
「………ぁ」


スカートの端を握る彼女を黙って見守る。


「…あの、わたし…ジュードが好きなんです」
「ありがとう」
「でもっ、ミラも好きなんです。レイアもローエンもドロッセルも、みんな、好きなんです…」


純粋に嬉しくて思わず笑みを浮かべるが、あがった名前の中に一人足りないような?


「……アルヴィンは、嫌いだけど…仲間外れにしたら拗ねちゃうんで、仲間に入れてあげても、いい…です」


まるで不本意とでも言いたげに唇を尖らせて顔を顰める少女。
どうやらわざと名前を出さなかったらしい。
それにしても、彼女の中でのアルヴィンの地位って…。なんて、思わず彼に同情しそうになる。


「でも、ジュードの好きの気持ちだけは、なんか違うんです」
「……うん」
「うまく、言えないけど…ジュードだけちがってて…。…わたし、ミラが、うらやましいんです」


どういう意味か分からず黙っていると、再び泣きそうな表情になった少女が苦しそうな声で呟いた。


「ジュードの一番近い場所にいるミラが、うらやましいんです」
「……」
「でも、ミラも好きなんです。ジュードは、もっと好きなんです」
「…ありがとう、エリーゼ」


潤む瞳の少女。
素直な気持ちから向けられる好意は純粋に嬉しいが。


「…エリーゼは女の子だね」
「…男に見えるんですか?」
「まさか。エリーゼはとっても可愛い女の子だよ」
「でも…ジュードは、ミラのほうが好きなんですよね?」
「…んー、どうかな…」


正直に首を傾げる。


「違うんですか?」
「違うというか…。ミラもエリーゼもレイアもローエンもアルヴィンも、みんな大事な仲間だし僕は好きだよ」


その返答に不服そうな表情で彼女は呟く。


「…でも、アルヴィンが、ジュードはミラに恋してるんじゃないかって言ってました」
「…アルヴィン」


人の知らない所で何を吹聴しているんだ。
脳裏に浮かぶ顔を思わず殴りつけたくなって、耐えるように拳を握りしめる。


「そうだなぁ…、正直に言うとね、僕にもまだよくわからないんだ。確かにミラのことは尊敬してるけど、恋とはちょっと違う気もするし…。……どう説明すればいいんだろう」
「それでも、ジュードにとっての一番の席に座ってるのはミラなんですよね?」
「…そう、なのかなぁ?」
「だったら…」


何かを決心したかのような眼差しに思わずたじろぐ。


「ジュードの2番目の席をあけておいてください!」
「え?2番目?」
「わたし、これから大きくなって、ミラのようなバリボーな体になりますから!」


ミラのような体!?


「いや、待って、エリーゼ」


そういう話だっけ!?と戸惑っている間に少女は勘違いから結論を出したようだ。


「それまで、絶対にジュードの2番目の席には誰も座らせないでくださいね!特にアルヴィンは殴ってでも座らせたらダメですからね!」
「何でそこでアルヴィンがでてくるの!?」


予想外の名前に思わず突っ込む。


「だって、アルヴィンは絶対にジュードのこと狙ってます!」
「ありえない。それだけは、絶対にありえない」
「…って、この前ミラが言ってました」
「ミラぁぁあ!?それ、絶対また変な本の影響でしょ!?」


何をどう少女に言って説得すればいいのか分からず、痛む頭を押さえかける。


「……でも、レイアかドロッセルだったら、考え、ます」
「…え?」
「負けるつもりはありませんけど!」
「…あのね、だから」
「待っててください。すぐに追い付いて、そしたら、もう一度、ジュードに好きって言いますから」
「…エリーゼ」
「それだけ、言いたかったんです」
「…そっか。分かったよ」
「…っわ、わたし、もう行きますね!ジュードも早く戻ってきてください!」
「え?一緒に帰ればいいんじゃ…って行っちゃったし」


引き止める間もなく去っていく後ろ姿。
何か色々と否定したい誤解がたくさんあった気がするけど。
つい最近、エリーゼのそういう方面の感情はアルヴィンに向いているんじゃないかとローエンと話していたのだが、どうやら違ったらしい。
そういえば、ローエンが何か含み笑いをしていたけど、もしかしてあれは、幼い恋心を微笑ましいと思っていたのではなく、彼女の気持ちの行方を知ってて黙っていたうえに、こちらの勘違いに気付きながら黙って話を聞いていただけなのかもしれない。
色々な鈍さから気付かなかった自分に呆れる。
彼女はアルヴィンが言っていたように、これから華咲いて綺麗な女性へと変わるだろう。
彼女はああ言っていたが、数年先のことはわからない。
彼女か、または自分が、その間に別の人に好意を寄せる可能性もある。
しかし、女性は男性より成熟が早いと言われているから、本当に大人の女性へと羽化した彼女が自分の前に再び立つ日がこないとも限らない。
今は恋愛とか考えられないけど、エリーゼはミラやレイアと同じ大切な女性だということだけは断言できる。
本当に彼女が自分を選ぶ、そういう未来もないとは言い切れないし、彼女が別の人を選んでも自分は笑って祝福出来るだろうことだけは確かだ。
どちらへ転ぶかはわからないが、彼女の決意と告白にこちらも真剣に向き合わなければ失礼だろう。


「…ミラのように、か」


5年は早いのか、短いのか。
そんな事を考えながらゆっくりと帰路についた。









end










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