その他

□拍手ログ
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※同じシチュエーションでテイルズ3作。第三段。
『暑い』

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そもそも“暑い”とは何か。

“暑い”とは、『気温が著しく高い』という意味らしい。

そんなに著しく気温が高いのなら、暑さで体が怠く感じるのも仕方がない事だろう。
…が、物には限度というものがある。
そもそも、人間の体というものは体温が40℃を越えるとたんぱく質が凝固し始め最悪の場合、死に至るらしい。
もっとも、この体は“人間”とは判別し難いので、私にもそれが適用されるのかは分からないが。

だから

もし、今“人間”だったとしたらとっくに死んでいるのではないだろうか。
それ位に暑い。
こうしている今も、熱の籠もった体内では、じわじわと蝕まれ始めているのかもしれない。


「……ロイド。お前は私より先に死ぬな」

「…何、バカな事言ってんだアンタ」


朦朧とした意識の中、ぼやけた視界の中に映った息子は、何故か呆れた眼差しでこちらを見下ろしていた。
だが、これは大事な問題だ。
茶化さないで聞きなさい。
私は本当に死ぬかもしれないのだ。

いや。

むしろ、これが私の天命なのかもしれない。


「ほら。タオル額に乗せとけよ」


程よく冷えた布が額に置かれる。
ずきずきと痛む頭と靄がかかったような視界が、冷たさに少しすっきりとする。
何て優しい子だ。
私は何も望んでいないのに、こうして看病までしてくれる。

アンナ。
ロイドは本当に優しく強い子に育ってくれた。
もう、思い残す事はないだろう。


「……アンタ、本当に大丈夫か?」


大丈夫というのは体の事だろうか。
それなら、怠いし熱いが問題ない。
だから大丈夫と言いたい所だが、大丈夫ではないのかもしれない。


「なぁ…天使なら、感覚とか遮断出来るんじゃねーの?」


…それもそうだな。
もしかしたら実際には、そう知覚しているだけであまり暑くないのかもしれないし、怠くもないのかもしれない。

でも暑い。

そして怠い。


「…分かったから。寝ろよ父さん」


寝たいのは山々だが、私にはやることがあるのだ。
そして、最後に一言だけ言いたい事がある。
遺言と捉えて貰っても構わない。


「はいはい。体調が良くなったら聞いてやるから」

「………ロイド」

「だから…」

「……気持ち悪い」





暗転。





「ぎゃーっ!!だから休めって言っただろクラトスっ!!」





end





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