その他

□拍手ログ
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※同じシチュエーションでテイルズ3作。第三段。
『暑い』

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暑い

もう無理だ

マジで死ぬ




「……フレン」

「…何」

「…暑い」

「そう…」

「…それだけか?」

「…君だけが暑いとでも思ってるの?」

「あー…。口に出さないと死にそうなんだよ」

「それを聞いてるほうは、更に暑くなる」



下町にある宿屋の二階にある一室。
狭い室内で、二人だらしなくベッドの上で仰向けになり、ぼんやりと天井を見つめていた。
シーツに触れている背中は随分前から汗でべとべとだが、触れていない前の部分も淀んだ温風…というか空気で汗が滲んでいるので、結果的には同じ状態だったりする。
ユーリは動かない手を気合いだけで持ち上げると、はだけた上着の前を更に広げ、ぱたぱたと風を送り込むように揺らしてみた。
気休め程度の風が肌を掠めるが、所詮は温風なので大した効果もなく早々に諦めた。
その動作だけで、更に疲れが増した気がしてウンザリとする。
腕を持ち上げたついでに、こめかみを流れる汗を拭うと、首を横へと向けた。
その視線の先には、珍しく軽装の幼なじみが同じように上着の前をはだけさせた格好のまま、ぼんやりと前を見つめている。
一つ熱の籠もった息を吐くと、はだけられた上着の間から覗く肌を見つめた。
普段、固い装備に隠されている所為か胸元から腹にかけて見えている範囲の肌は白いが、それでも健康的な色の範囲内での白さだ。
次いで首を戻すと、視線を自らの腹へ移す。
こちらは逆に、普段から前を豪快にはだけさせているにも関わらず白いままの肌。
もしかしたら、普段露出していないフレンよりも白いのかもしれない。
もっとも、いくら露出していても焼けにくい肌に関しては大分前に諦めていたりするのだが。


「…ユーリ」

「………んー?」

「呼んだだけ…」

「…そうか」

「うん」

「…………」

「…………」

「……フレン」

「何…?」

「呼んでみた」

「そう」

「…あぁ」


全開に開け放たれた窓からは、温風と共に活気ある下町の賑やかな音が聞こえてくる。
そういえば、ラピードは何処へ行ったのだろうか。
少し前に部屋から出て行ったきり戻ってきていない気がする。
もしかしたら、涼しい場所でも見つけたのだろうか。
だが残念な事に、自分…否。自分達は、此処から動く気力すらない。


首筋を伝う汗が気持ち悪くて手で無造作に拭う。
思わずついた溜め息は、隣の幼なじみと重なった。


「……暑いな」

「……暑いね」



夏はこれから本番を迎える。





end






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