その他

□甘くて苦くて
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色々なフレユリを模索中。

※ちょっと、フレンのキャラ崩壊注意?かも?

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「幸せ?」


一体、いつからそこにいたのか。
前方から聞こえた声に、ユーリが行儀悪くスプーンを口に咥えたまま目線を上げると、視線の先…ここにいる筈のない人物の姿を確認して、惚けたように瞬きを二つ。
瞬時に浮かんだ疑問と突っ込みは、端の置いておくとして
とりあえず、向かい側の…数分前までは確かに空席だった場所に座り、笑顔を絶やさず浮かべている親友を見つめながら、ユーリは先程の彼の台詞を頭の中で反芻した。

聞こえた単語の意味は理解出来る。
しかし、主語がない上にその単語自体の意味の解釈が幅広く、今までの人生とかそんな大規模な話なのか、それとも今この刹那の事を指しているのかがさっぱり分からない。
けれど、目の前で柔らかく微笑んでいるその表情から察するに、多分後者なのだろう。


「……おぅ」


咥えていたスプーンを名残惜しげに口から抜きながら短く答えれば、その答えに満足したのか小さく笑う声が聞こえた。
その反応に思わず口を開きかけるが、無意識に動かしていた手の先のスプーンがテーブルの上に鎮座している小さな容器から次の黄色い固まりを掬いだしたのを視界に入れた瞬間、親友へと向けていた意識は簡単に霧散した。
柔い塊を口の中へ入れれば想像通りの甘味が舌に乗り、するりと嚥下されてしまう物足りなさに今度は少し塊を大きく掬おうかと考えた所で、再び向かい側から聞こえてきた控えめの笑い声にユーリは手を止めた。


「本当に幸せそうな顔で食べるよね」

「…幸せだからな」


大好きな甘いものを食べる時間なんて、至福の時間に決まっている。

かまわず視線を戻せば、何が面白いのかこちらの動作を逐一観察するかのような視線。
それを特に気にする事もなく、ユーリは目の前の容器の中のカスタードへと再びスプーンを沈ませた。
刺した所からじわりと滲み始める焦げ茶の液体。
どうやら到達したらしいカラメル層。
その穴を更に広げながら、躊躇うことなく少し大きめに掬い同時に口も若干大きく開き含めば、甘さの他に感じるカラメルの苦味との調和がなかなか上手く出来たと自画自賛。
思わず頷いていると、テーブルに肘をつき組んだ手の上に顎を乗せた態勢でこちらを見ていた親友が目を細めた。


「僕も…そんな君を見てると幸せかな」

「……は?」

「違うな。ユーリと一緒にいるこの時間が、僕にとっては――」


何やらしゃべりだした親友の何だか嫌な予感しかしない文脈に、ユーリは咄嗟に容器を掴むと椅子から立ち上がり身を乗り出した。
その勢いで掬ったカスタードの塊が乗ったスプーンを素早く親友の開いた口の中へ。
予告もなくスプーンを突っ込まれたにも関わらず、特に表情を変える事なく黙って咀嚼し始めたのを確認したユーリは、ゆっくりと手を引く事でスプーンを抜き出した。


「……旨いか?」

「もちろん」


嚥下し、にこにこ笑うフレンとは対称的に引きつった笑みを浮かべるユーリ。

とりあえず

乗り出した体を戻し、静かに椅子に座り直すと再びテーブルの上へと帰還した容積の少なくなった容器から、黄色い塊をまた一掬い。


「間接キスだねユーリ」

「今更だろ」



うん。今日も幸せだ。






end






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さりげなく間接してます。
さりげなく不法侵入疑惑。
でもユーリは気にしない。

キャラ崩壊に見えないように書いてみました。

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